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「大丈夫、おいしいから」と言われて草を貰ったわけだが
なんとなくそのまま食べる気にはならず
とりあえず草よりいくらかマシなパン屑でラスクを作る。
一通り作って麻袋に詰めてから何故菓子にしたのかと少しだけ後悔した。
次はもう少し飯寄りにするか。
作る途中でボロボロになったラスクの欠片をつまみながら進む。
遺跡っていうぐらいだから狭っくるしかったり埃っぽかったり
そんなイメージしかなかったけどまさかこんな緑豊かだとは思わなかった。
本当に地下かこれ。それとも幻術とか幻の類か。
でもまあ、探索の間何日も薄暗い地下に籠るよりかは
仮に偽物でも地下に居ながら空を見上げられるこっちのほうがずっといい。
空は好きだ。青さとか、風とか。
そんなことを思いながら歩いていたら、視界の端で何か動いた気がした。
……気のせいじゃなかった。
背の高いの低いのが入り混じった草むらの中、緑色の、ふさふさした……
え、何、草って動くの?
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